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第853回 非対称分裂をするがん細胞の画像について

 昨日の毎日新聞朝刊に『がん細胞「非対称分裂」撮影』という記事が出ていました。すでにご存じの方も多いと思います。

 撮影に成功したのは、埼玉県立がんセンター臨床腫瘍研究所で、すでに昨年10月「米国科学アカデミー紀要」に掲載されているそうです。

 問題はその中味ですが、撮影に成功したのは「がん細胞の中でも抗がん剤や放射線に抵抗性が高い「がん幹細胞」とみられる。」とのことで、要するにがんを発生する原因となったおおもとの細胞が分裂するときの様子を撮影できたと言うことのようです。

 そこまでは単に細胞分裂の話ですから、別段とりたてて騒ぐほどのことはないのですが、問題は分裂後の細胞が「非対称」である、ということです。

 そもそも細胞分裂というのは、高校の生物でもひじょうに重要な事項として細かく写真が掲載され、その分裂の様子をきちんと順を追って説明していきます。

 説明の要点は何かというと、特定の幹細胞(元になる細胞)を除いて、通常の細胞分裂は、1個の細胞からまったく同じ細胞が2個生まれると言う点を強調します。

 つまり皮膚の細胞からは、遺伝子が同じで、性質もまったく同じ皮膚の細胞しか生まれないということです。そうでないと、極端なことを言えば、皮膚が突然神経になったり骨になったりしてしまいます。

 ところががん細胞というのは、ある時期から突然異常な増殖が始まり、それを制御することが出来なくなる性質を持っています。そこでそれらのがん細胞に対して様々な薬品を投与して増殖を抑えようとするわけですが、相手が同じ性質を常に維持していればそれらの薬も効果を発揮します。

 つまりインフルエンザに対してタミフルが効果があるのとまったく同じです。

 ところが今回のニュースのように、一つのがん幹細胞が分裂するとき、新たに出来たがん細胞が違う性質を持ってしまうと、それに対して最初は効果があった薬剤が、新たに出来たがん細胞には効かないことが予想できます。

 つまりこのがんはたちが悪いとか悪性である、という言い方をよくしますが、それは化学療法が効きにくいがんだと言うことで、その根本原因は、こういった非対称性の分裂に寄るところが大きいのではないかという考えです。

 その意味で、実際にがん細胞がまったく同じ二つのがん細胞に分かれるのではなく、違う性質を持ったがん細胞になるという証拠となる画像を撮影できたと言うことは大きな意味を持つのだと思います。

 つまりこれまでは「もしかしたらそうかもしれない」と思いつつ治療を行っていたわけですが、今後はそういった非対称性の分裂が現実に起きていると言うことを認めながら有効な薬剤を開発するという流れになるのだと思います。
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hoku

Author:hoku
 高血圧、痛風の薬を毎日飲み続け、季節によっては喘息やアトピー症状に悩まされながら、健康に気を使っている60代前半のおっさんです。

 一時期、妻の突然の病死による家庭環境の激変と、仕事の重圧で、若干自律神経のバランスが狂ってしまい、体が勝手な反応をしていました(不眠、動悸、イライラ、悪夢、めまい等)

 しかし最近はなんとかその症状を乗り越え、これまで自身が体験してきた病歴と治療状況を詳細に報告しています。どなたかの参考になれば幸いです。

 ちなみに写真は私の大好きなハワイのダイヤモンドヘッドで撮影したものです。